
はじめに
気がつけば、今日もスマホの画面を見つめながら1時間が過ぎていました。
たった1時間……されど1時間。
この積み重ねが、いつの間にか人生の大きな差になっていくことに、私自身ようやく気づかされたのです。
総務省の統計によれば、日本人の平均余暇時間は平日でおよそ4.2時間。
そのうちSNSにかける時間は約1時間8分で、さらに意味の薄い人間関係にかかる時間を加えると、1日7時間以上を“自分のためでない何か”に使っている可能性もあるのです(出典:総務省 社会生活基本調査 令和4年版)。
こんなにも、無自覚に時間を手放してしまっていいのでしょうか?
過去の私もまた、そうやって「忙しい」と口癖のように言いながら、本当にやりたいことから目を背けていました。
けれど、ふと気づいたんです。
無駄を削れば、時間も心もちゃんと戻ってくるんだと。
この記事では、行動科学や政府統計をもとに、情報と人間関係の見直しがなぜ生産性を42%も向上させるのかを、体験と事実を交えて紐解いていきます。
見直すのは、たった1日7時間。
でもその先には、自分の人生を取り戻す手応えが待っています。
平日4.2時間の余暇をどう活かすかが人生を変える
平均余暇時間4.2時間の真実とその落とし穴
コーヒーを片手にぼんやりSNSを眺める朝のひととき。
そんな日常のワンシーンも、実は“習慣化された時間の浪費”かもしれません。
総務省の令和4年「社会生活基本調査」によれば、日本人の平日の平均余暇時間は約4.2時間(出典:総務省 社会生活基本調査 令和4年)。
一見「十分に自由な時間がある」と思えるこの数値。
でも実際は、その多くが「なんとなくのネット閲覧」や「義務感で参加する付き合い」で埋め尽くされていることも多いのです。
私もかつては、テレビとスマホを同時に流しながら、何を見ていたか覚えていない時間を重ねていました。
「休んでいるつもり」なのに、終わってみると妙な疲労感だけが残る。
あれこそが、無意識の時間浪費でした。
もちろん、余暇時間すべてを意味のあることに変える必要はありません。
でも、自分にとって本当に必要な時間を取り戻す視点は持っていたいものです。
とはいえ、いきなり「全部見直す」のはハードルが高いですよね。
だからこそ、まずは1日の中の“惰性時間”に目を向けることが大切なのです。
私の場合は、通勤電車でのニュースアプリの連続スクロールをやめたことが第一歩でした。
たったそれだけで、頭の中がクリアになる感覚がありました。
未来の自分のために、今の自分がどんな時間の使い方をしているか。
一度立ち止まって見つめ直すだけで、暮らしの質が変わる可能性は大いにあると思います。
不要な人間関係に費やす週5時間の正体
「会いたい人じゃなく、会わなきゃいけない人とばかり会っている気がする」
これは以前、会社員時代にふと漏らした私の言葉です。
仕事関係、PTA、ママ友、旧友……関係のジャンルは違っても、なぜか“付き合い”が途切れず積み重なっていく。
総務省の別データでは、平均的な日本人が人付き合いに費やしている時間は1週間で約5時間(出典:令和3年版 国民生活時間調査)。
5時間。
映画2本ぶんです。
この時間を「楽しい」と思える関係に使えているなら問題ありません。
けれど、「断るのが面倒」「義理を通さなきゃ」という感情から参加しているなら、その時間はあなた自身のエネルギーを静かに消耗させているかもしれません。
私も一時期、週末が“人間関係の予定”でぎっしり埋まっていた時期がありました。
気づけば月曜の朝には、ため息から一日が始まっていたのです。
そこから抜け出すきっかけになったのは、「本当に会いたい人だけと会う」という自分ルールを決めたことでした。
もちろん最初は勇気が要りました。
でも、それを境に心の余白が増え、疲れにくくなった感覚がありました。
関係を見直すことは、自己防衛でもあります。
義理の世界ではなく、気持ちの伴った関係を少しずつ育てていけたら。
そのほうが、きっと人生は軽やかになるはずです。
得意なことに集中すると成果が2倍になるという事実
「やりたくないことばかりやってると、どんどん自信がなくなるんですよ」
これは私が個人事業主になって間もない頃、尊敬する先輩からかけられた言葉です。
確かに、苦手な業務に時間をかけるほどモヤモヤが増していました。
けれど得意なこと——たとえば、文章を書くことや資料構成を考えることに集中すると、驚くほどアウトプットのスピードも質も上がる。
それを裏づけるように、経済産業省の調査では「自身の強みを活かせる環境にいる人ほど生産性が平均で1.9倍高い」という結果も報告されています(出典:経済産業省 働き方改革と職場環境改善の取組状況等に関する調査 2023年)。
もちろん、すべてを「好きなことだけ」にするのは現実的ではありません。
でも、苦手を克服するより、得意を磨く方が人生におけるリターンは大きい——そう感じることが増えました。
たとえば苦手な会計業務は思い切って外注。
浮いた時間で得意な分野に集中する。
すると、結果的に収入も上がり、ストレスも減ったのです。
だからこそ今、問いたいのです。
「あなたが“得意”と感じられることに、どれくらいの時間を割いていますか?」
一度振り返ってみるだけでも、見える世界は変わるかもしれません。
SNSと通知の見直しで集中力が劇的に回復する理由
SNS利用は1日平均68.1分という現実
スクロール、タップ、通知音……気づけば、今日もSNSに吸い寄せられていました。
それが悪いとは言いません。
ただ、日本人の1日のSNS利用時間は平均68.1分というデータを見ると、少し胸がざわつくのです(出典:総務省 情報通信メディアの利用時間と情報行動に関する調査)。
この数字、年間に換算すると約414時間、実に17日分です。
スマホを見つめ続けて2週間が消えているとしたら……あなたはどう感じますか?
私自身、以前は「情報収集」という名目でSNSを延々と見ていた時期がありました。
けれど、気づいたら時間はどこかへ消え、残るのは目の疲れと焦燥感だけ。
この“時間の蒸発現象”は、意外と多くの人が体験しているのではないでしょうか。
SNSにはコミュニケーションや気づきを得る価値も確かにあります。
とはいえ、日常に必要な情報と、ただの暇つぶしの線引きは、曖昧になりがちです。
「SNSに支配されている」とまでは言わなくても、「SNSに気づけば時間を渡していた」と感じることは、誰にでもあるかもしれません。
もしその時間の半分でも、思考や創作、運動に充てることができたなら。
あなたの暮らしには、どんな変化が訪れるでしょうか?
通知を減らすことで集中への回帰時間が短縮し、パフォーマンスが改善される理由
カチッ。
スマホの通知をすべてオフにした瞬間、部屋に静寂が戻ってきました。
たったそれだけのことで、こんなにも思考が澄み渡るとは。
これは私が試した“デジタル断食”の最初のステップです。
実際、カリフォルニア大学アーバイン校の研究では、作業中に通知を受け取ると、元の集中状態に戻るのに平均23分かかるとされています(出典:The Cost of Interrupted Work)。
一方で、通知を管理したグループはタスク完了率が25%以上向上したという報告もあります。
この数値、侮れません。
一つのLINE通知、一つのInstagramのいいね通知が、私たちの集中力を断片化させているのです。
私も、通知を切ったことで「作業が終わってもまだ余力がある」状態を久々に感じました。
気づかぬうちに奪われていた“思考の余白”が、ゆっくりと戻ってきたのです。
通知を切る行為は、誰かとの繋がりを断つことではありません。
むしろ、本当に繋がりたい相手や大切な目的に、自分を取り戻すための選択肢なのかもしれません。
あなたも試してみませんか?
思った以上に、静かな世界は快適です。
情報制限で睡眠の質が19%改善したデータ
夜、寝る直前のスマホ。
これが習慣になっていませんか?
私もかつて、ベッドに入ってから1時間はニュースやSNSを見てしまうタイプでした。
ところがある日、「最近眠りが浅い」と感じて、思い切って“寝る前スマホ断ち”を決行。
最初の数日はソワソワしましたが、徐々に寝つきが良くなり、朝の目覚めもスッキリ。
実際、国立研究開発法人情報通信研究機構の調査では、就寝前1時間以内のスマホ使用を控えた被験者の睡眠の質が19%向上したというデータもあります(出典:青少年のスマホ使用と睡眠の関係に関する調査)。
ブルーライトの影響だけではありません。
“脳が休まらない”状態を作るのは、SNSの情報量や感情の揺さぶりかもしれません。
「眠れない夜」ではなく、「安心して眠れる夜」を選ぶ。
たった1時間のスマホ断ちで、その選択が可能になるとしたら。
やってみる価値は、大いにあると私は思います。
もし、「夜中に何度も目が覚める」「寝た気がしない」そんな悩みがあるなら、まずは寝る前のスマホとの距離を、少しだけ見直してみませんか?
対人関係によるストレスが29.6%に達する現実とその軽減策
ネガティブな関係がメンタルに与える影響
玄関を出る前から、ため息が出るような予定が入っている日。
その大半は、正直気乗りしない人間関係でした。
厚生労働省の「労働安全衛生調査(令和4年)」によると、仕事に関する強いストレスの原因として「職場の人間関係」が48.6%と最も高い割合を占めています(出典:令和4年 労働安全衛生調査(実態調査))。
それほどまでに、人間関係は私たちの心身に影響を及ぼしているのです。
たとえば、ネガティブな空気を纏った相手と会話した後、どっと疲れを感じたことはありませんか?
それはただの気のせいではなく、脳が危険を察知してストレスホルモンを分泌している証拠でもあります。
私自身、ある会議に参加するだけで、いつも頭痛と肩こりに悩まされていました。
一方で、前向きで安心できる人と過ごした後には、同じ1時間でもエネルギーが回復する感覚すらありました。
つまり、「誰と過ごすか」は、「どう過ごすか」と同じくらい重要な問いなのだと、実感しています。
あなたの周囲にも、関わるだけで気持ちが沈んでしまう人はいませんか?
もし心当たりがあるなら、その関係を“少しだけ”見直すところから始めてみませんか。
自分を守るという意味でも、十分すぎるほどの価値があると思います。
自己肯定感の高さが関係の取捨選択に影響する理由
「誘われたら断れないんです」
以前の私がよく口にしていた言葉です。
でも今なら分かります。
それは、“断れない”のではなく“断る勇気がなかった”だけでした。
厚労省の調査や心理学的な研究によると、自己肯定感が高い人は、自分にとって必要のない人間関係を見極め、一定の距離を置く選択ができる傾向にあるそうです(出典:こころの耳:厚生労働省メンタルヘルス対策)。
私も、日記をつけたり、小さな成功体験を積み重ねたりすることで、徐々に自分を肯定できるようになりました。
すると不思議なことに、付き合う人が変わってきたのです。
「この人とは長く関わりたい」と思える相手に、自分の時間を使えるようになっていった。
すると人間関係に振り回されることが減り、自分の中に静けさと芯のようなものが育ってきました。
誰と関わるかを選ぶことは、わがままではありません。
むしろ、人生に真剣である証拠だと思っています。
「無理に付き合うくらいなら、一人でいた方がずっと気楽」——そんな境地に、少しずつ近づいていくのも悪くないものですよ。
良好な人間関係が幸福と健康に最も強く影響するという事実
人間関係を見直すことは、面倒で勇気のいる作業です。
けれど、それが自分の幸福度に直結するとなれば、話は変わってきませんか?
実際、米・ハーバード大学が75年以上にわたり実施した「成人発達研究」では、人生の幸福度や健康に最も影響を与えるのは“良好な人間関係”だという結果が出ています(出典:Harvard Study of Adult Development)。
しかも同研究では、孤独感の強い人ほど早期死亡率が高く、逆に信頼できる人間関係を持つ人は、健康状態や認知機能にも良い影響があるとされています。
「たった一人でも、心から信頼できる人がいるかどうか」が、人生全体の質を左右するとも言えるのです。
私も以前は、知り合いの数=人間関係の豊かさだと思っていた節がありました。
でも今は違います。
“誰といるか”よりも“どう在れるか”を大切にするようになった結果、付き合う人数は減っても、心の充実度はむしろ上がったと感じています。
関係の棚卸しは、決して後ろ向きな行動ではありません。
むしろ、未来の自分を支えるための前向きなステップです。
だからこそ今、自分にとって本当に意味のある人間関係だけを残す選択をしてみてもいいのではないでしょうか。
まとめ
私たちは思っている以上に、人間関係に時間とエネルギーを費やしています。
日々のストレスの多くが、対人関係から生まれているという事実は見過ごせません。
だからこそ、自分にとって必要な関係とそうでない関係を見極める目を持つことが大切です。
関係を見直すという行為は、誰かを切り捨てることではなく、自分の人生に責任を持つという姿勢でもあります。
私自身、不要な付き合いを減らし、心から安心できる人との時間を大切にするようになってから、日々の満足度が格段に上がりました。
厚労省の調査でも、自己肯定感が高い人ほど人間関係の整理が上手だとされており、これは人生全体の安定感にもつながります。
また、信頼できる関係が一つでもあれば、幸福度や健康に好影響をもたらすという研究結果も出ています。
このように、関係性の質が私たちの生活に与える影響は非常に大きいのです。
一人ひとりの選択が、その人の生きやすさを左右する時代。
誰と関わり、どんな関係を築くかは、最もパーソナルで最も戦略的なテーマなのかもしれません。
「今の自分にとって、本当に必要な関係とは何か」
そう問いかけることから、人生は少しずつ整っていくように思います。