
はじめに
仕事の後、ふと気づくと頭の中がザワザワしている。誰にでもそんな夜があるものです。
「もう終わったことなのに、なんでずっと考えちゃうんだろう……」
実際、JUNOが行った2025年の調査では、**働く人の88.1%が“仕事の感情を家庭に持ち帰ってしまう”**と回答しています(出典:Work Wellnessレポート|JUNO)。
その一方で、自分の気持ちをうまく整理して、毎日穏やかに過ごしている人も確かに存在します。
彼らは何か特別な能力を持っているわけではありません。
感情を“管理する技術”を知っているだけなのです。
一方、若年層を中心に自己肯定感の低さも深刻な問題です。
内閣府の調査では「自分に満足している」と回答した日本の若者は45.8%。
これは、米独韓の7〜8割に比べて大幅に低く、日本が最下位という結果でした(出典:令和4年版 子供・若者白書|内閣府)。
この記事では、ストレスを軽減し、自己肯定感を高める「心の整え方」を、感情科学と実体験を交えて紹介していきます。
最後には、私が失敗から学んだリアルな体験談も添えます。
ちょっとした工夫で、毎日は変わります。
あなたも、ご機嫌な自分に出会ってみませんか?
持ち帰りストレス88%の実態と対策
持ち帰り感情ストレスとは何か、調査88%が経験済み
朝の通勤電車で、昨日の上司の言葉がまた頭をよぎる。
「なんで、もっとしっかり確認しなかったの?」
そんな一言が、夜になっても胸に刺さっている。
気づけば、夕飯の味も覚えていない──。
私も過去にそうでした。
夕方には業務から離れているはずなのに、心だけが会社に残されている。
2025年のJUNOの調査では、88.1%のビジネスパーソンが“感情を家庭に持ち帰ってしまう”と回答しています。
つまり、誰にでも起こり得る現象です。
では、なぜこんなにも“感情の持ち帰り”が起こるのでしょうか?
その理由の1つに、「思考の再演」があります。
脳はストレスの原因となった出来事を、何度も反復して記憶に刻もうとする性質があるのです。
これは一種の“防衛本能”。
でも、その繰り返しは、私たちの心を消耗させます。
「終わったはずの会議が、頭の中でエンドレス再生される」──そんな経験はありませんか?
この現象、実は心理学的にも確認されていて、“ルミネーション(反芻思考)”と呼ばれます。
厄介なのは、対処法を知らないとエスカレートしてしまうこと。
感情の持ち帰りは、心身の疲労や家庭の空気にも影響を及ぼすのです。
ただし、解決策はあります。
まずは「仕事と私生活の間に“感情の換気”を置くこと」。
私が効果を感じたのは、帰宅途中にあえて10分だけ歩くこと。
歩くリズムに呼吸を合わせて、「いまここ」に意識を向けるだけで、頭のざわつきが静まります。
静かに、でも確かに。
読者のあなたにも、そんな“感情の引き戸”を用意してみてほしいのです。
それが、持ち帰らない自分への第一歩です。
ストレスの種類と頻度、心理的影響の科学的背景
「ストレスって漠然としてるけど、具体的に何が原因なの?」
そんな疑問、当然です。
実は、**厚生労働省の令和元年「国民生活基礎調査」**では、ストレスの主な原因として「仕事」「健康」「家族関係」が上位に挙がっています。
(出典:厚生労働省「国民生活基礎調査」)
私が勤めていた職場では、特に「人間関係」からくるストレスが蔓延していました。
新人だった私は、いつも先輩の顔色ばかり伺っていました。
胃がキリキリ、肩はガチガチ。
それでも「こんなの、誰もが通る道だ」と思い込んでいたんです。
でもそれ、違いました。
心理的ストレスは、確実に心身にダメージを与えます。
例えば、慢性的なストレスは自律神経の乱れを引き起こし、不眠や食欲不振、集中力低下の原因になります。
そして、それがさらなるミスや対人トラブルを招き、またストレスに……。
そう、まさに“負のループ”。
今この記事を読んでいるあなたが、その渦中にいるのなら伝えたい。
「その感覚は、正しい。放っておかないで」
日々のストレスに名前をつけ、原因を特定してみる。
それだけでも、心の負荷は軽くなります。
「なんとなくツライ」から、「○○がストレスになっている」と明確にするだけで、対策が立てられるのです。
現実の一歩は、そこから始まります。
対処する方法と企業・個人双方のアプローチ
「組織が変わらなきゃ無理」
確かに、それも正論です。
しかし、私たちは“今の自分の行動”だけは、選べます。
実際、近年では“働き方の多様性”や“ウェルビーイング経営”が注目され、企業によるメンタルケア制度の導入も進んでいます。
たとえば、ある外資系企業では、1日15分間の「感情シェアタイム」を実施しています(出典:Work Wellnessレポート|JUNO)。
小さなことでいい。
「今日は朝のコーヒーが美味しかった」でもOK。
言葉にすることで、心は整います。
個人の対策としては、いくつかおすすめがあります。
・感情日記を書く(その日の気持ちと出来事を記録)
・感謝メモを作る(小さな喜びを3つ挙げる)
・“無理に前向き”にならない(負の感情も許す)
私はある時期、気分が沈んだときだけ“感謝の言葉”を書いていました。
最初は強がりでした。
でも、だんだんと“ありがとう”が本音になっていったんです。
あなたにとっての“感情リセットスイッチ”、一緒に見つけていきましょう。
その先には、きっと少し軽くなった心が待っています。
自己肯定感45.8% 国際比較で最下位の若者意識
「自分に満足している」と答えた若者は45.8%と欧米の半数程度
夜ふと鏡を見たとき、「自分って何もできてないな……」とつぶやいたことはありませんか?
私自身、20代のころ、毎晩そんな思いに支配されていた時期があります。
やる気を出しても成果が出ず、自信を持つことができなかったのです。
この感情、実はあなただけではありません。
**内閣府の「令和4年版 子供・若者白書」によると、「自分に満足している」と答えた日本の若者はわずか45.8%**です。
比較として、アメリカは82.7%、ドイツは80.1%、韓国でも77.0%と高水準を示しています。
(出典:令和4年版 子供・若者白書|内閣府)
日本の若者の自己肯定感は、主要国と比べて極めて低い位置にあると言わざるを得ません。
とはいえ、なぜこれほどまでに自己評価が低くなってしまうのでしょうか。
社会全体の「正しさ」や「空気を読む文化」が、自分を押し殺す傾向を助長しているのかもしれません。
また、SNSで見かける“成功者の投稿”に、自分の現実を見比べて落ち込む──そんな体験、ありませんか?
けれども、他人との比較ではなく、自分自身との対話が鍵なのです。
私もある日、失敗ばかりを並べていた日記に「今日の小さな良かったこと」を3つ書いてみました。
すると、不思議と眠る前の気分が変わっていったのです。
“自分を責めない”という選択肢、あなたも今日から試してみませんか?
「長所がある」と回答した若者65.6%、他国より低い傾向
「あなたの長所は何ですか?」と聞かれて、すぐに答えられますか?
私は以前、それに答えられず面接で固まった経験があります。
「……頑張り屋です」と小声で言った自分の声の弱さを、今でも覚えています。
実際に**子ども意識調査2023(笹川平和財団)では、「自分には長所がある」と答えた日本の若者は65.6%**でした。
一方、アメリカは92.6%、ドイツは89.8%と、大きな差が出ています。
(出典:子ども・若者調査|笹川平和財団)
このギャップは単なる数字の問題ではありません。
「長所を口にすること=自慢」という文化的バイアスも背景にあるかもしれません。
でも、自分を知ることは、成長のスタートラインです。
一歩踏み出すだけで、「自己理解→行動→自信」のループが回り始めます。
私は今、毎週末に「今週のよかった自分」をメモする習慣を続けています。
慣れてくると、「意外と悪くないな、自分」と笑える瞬間も出てくるのです。
あなたも、自分に優しくしてあげる“週に1回の儀式”を持ってみてください。
失敗を極端に恐れる傾向と自己効力感の低さ
「ミスをしたら、もう終わりだ」──そんなふうに思い込んでいませんか?
私もかつて、報告書の誤字でチーム全体に迷惑をかけたとき、穴があったら入りたい気持ちになったことがあります。
「信頼をなくした」「もう取り返しがつかない」
けれど、数日後に上司から言われた一言が印象に残っています。
「ミスの後、どう動くかが信頼だよ」
この言葉が、私の価値観を大きく変えました。
実際、日本の若者は「失敗してもやり直せる」と思える自己効力感が低いとされています。
OECDのPISA調査でも、日本の15歳の自己効力感スコアは、参加国中で下位に位置していました。
(出典:PISA調査結果|国立教育政策研究所)
この“失敗を許さない空気”が、自分自身への期待値を過度に押し上げ、結果として行動を萎縮させる要因となっているのです。
でも、失敗は学びのプロセス。
「失敗=成長の途中経過」と受け止め直すことで、視界は変わります。
私が実践しているのは、失敗後に“振り返りジャーナル”をつけることです。
ポイントは、「何がダメだったか」よりも「何が学べたか」にフォーカスすること。
すると、同じ失敗でも自己否定ではなく、改善意欲に変わっていきます。
あなたもぜひ、自分の“しくじり”にラベルを貼らず、優しいまなざしで見つめてみてください。
感情習慣と心理技法で心を整える実践
感情日記と感謝記録による気づきと習慣形成
「今日は最悪な日だった」
かつての私は、そんな一文から日記を書き始めていました。
愚痴と後悔で埋まったページは、読み返すのも嫌になるほど。
けれどあるとき、感情を記録する意味に気づいたのです。
自分が“何に反応しているか”を観察するうちに、怒りや悲しみの根っこが見えてきました。
心理学ではこれを「自己認識の向上」と言います。
感情日記とは、ただの出来事の記録ではありません。
その時の“気持ち”を、できるだけ具体的に言語化することに意味があるのです。
「今日、上司の指摘にムッとした。たぶん、自分でもミスに気づいていたから」
こうした記録を積み重ねることで、感情と向き合う力が養われていきます。
そしてもう一つ効果的なのが“感謝メモ”。
これは、1日の終わりに「ありがとう」と思ったことを3つ書くだけの習慣です。
たとえば「天気が良かった」「電車が空いてた」「同僚が気にかけてくれた」
そんな些細なことでもいいのです。
この小さな“良いこと探し”が、ネガティブ思考の偏りをほぐしてくれます。
実際、筑波大学の研究でも、感謝日記は抑うつ感の軽減に効果があると示されています。
(出典:感謝日記が幸福感に与える影響|筑波大学)
私も半年間、毎晩「3つのありがとう」を書き続けました。
最初は面倒でしたが、やがて日中にも「これは感謝メモに書ける」と気づく瞬間が増えました。
それが、不思議と心の余白を作ってくれたのです。
あなたも一度、書き出してみてください。
感情は、言葉にすると和らぎます。
リフレーミングと客観視の心理的効果
同じ出来事でも、捉え方ひとつで感情は大きく変わります。
この“視点の切り替え”を、心理学では「リフレーミング」と呼びます。
たとえば、上司に「まだ終わってないの?」と言われたとしましょう。
ある人は「責められた」と感じ、落ち込みます。
別の人は「気にかけてくれてる」と受け取り、前向きになれます。
私も以前、「自分はダメだ」と思い込む癖がありました。
でも、出来事を“別の角度から見てみる”訓練を始めてから、少しずつ変わっていきました。
例えば、電車で席を譲ったのに無視された日。
昔の私なら「なんて冷たい人だ」と思って終わっていました。
今なら「体調が悪かったのかも」「気づかなかったのかも」と視野が広がります。
リフレーミングは、相手を許すためではありません。
自分の気持ちを守る“クッション”なのです。
そして、客観視も重要なスキルです。
「もし友達が同じ状況だったら、私はどう声をかけるだろう?」
そう自問するだけで、自分を責める声が和らぎます。
自己批判の嵐から抜け出す鍵は、第三者の視点を持つこと。
リフレーミングと客観視、この2つのツールは、心の重さをそっと軽くしてくれます。
あなたも、今感じている“その思い”に、別のラベルを貼ってみませんか?
自然との触れ合い・気分転換がストレス軽減に寄与
窓を開けたら、頬に風がふわり。
それだけで、少し呼吸が深くなった気がしませんか?
自然の力って、ほんとうに不思議です。
私は一時期、心がザワザワして眠れない夜が続いていました。
そんな時、近所の公園を朝5時に歩く習慣を始めました。
朝露の匂い、鳥の声、空のグラデーション。
毎日同じ場所なのに、日々違う表情を見せてくれる自然の中で、心がほどけていったのです。
実際に、国立環境研究所の調査では、自然に触れることでストレスホルモン(コルチゾール)が減少すると報告されています。
また、職場でも“自然的要素”を取り入れる試みが進んでいます。
観葉植物、木目のデスク、自然音のBGM──
人工的な空間でも、自然に近い要素を加えるだけで、心理的な安心感が得られるのです。
自分を整える場所は、遠くのリゾートでなくてもいい。
ベランダの空、風に揺れるカーテン、机の上の小さな鉢植えでも。
自然は“思考停止”を許してくれます。
何も考えない時間があるからこそ、心に余白が生まれるのです。
今日、5分だけでも外に出て空を見上げてみてください。
その時間が、明日のあなたを支えてくれます。
まとめ
私たちは日々、気づかぬうちに感情の波に揺られています。
ちょっとした一言に傷ついたり、自分を過小評価してしまったり。
けれども、心を整える方法は、意外と身近にあるのかもしれません。
感情を書き出す、感謝を数える、自然に触れる──
そうした小さな行動が、確かにあなたの“ご機嫌”を支えてくれます。
私は何度も失敗しました。
でも、そのたびに立ち止まり、自分の内側と向き合う時間を持ったことで、ようやく「今の自分でいい」と思えるようになりました。
ストレスや自己否定に押しつぶされそうになったときこそ、意識して“整える”習慣を持ってほしい。
客観視する力、視点を切り替える柔軟さ、自分にかけるひとこと。
どれもすぐに始められることばかりです。
完璧じゃなくていい。
うまくいかない日も、あなたがあなたを責めなければ、それだけで心は軽くなります。
さあ、今日から1つ、心の中に余白を作る習慣を取り入れてみませんか?
あなた自身が、ご機嫌の起点になれる。
その力は、もうすでにあなたの中にあるのです。